『ファーストクラスの履き心地』なるキャッチフレーズを引っさげて、日本国内でのセールス展開となった『M990v5』だけれど、僕にはそこまでの感動ていうものは、ない。
v5だけでも計3足、『M990GL5』、『M990IG5』、『M990BM5』を所有しているけれど、それというのも一般的には理解不可能、見てくれのムツカシイこの「運動靴」を、いかに美しく履きこなすかという、思考訓練を伴う修行のためであり、履き心地に惚れ込んだわけではない。
僕にとってのニューバランスの履き心地、その双璧は『M991』と今回ご紹介する初代のM990、そう『M990v1』なのである。
M991は荷物の多い時、PC、本やら詰め込んだアタッシュケース片手のオンタイム、はたまた重装備のバックパック背負っての見知らぬ国をさすらう時、その硬めのミッドソールでグイグイと前進する。
対して、『M990v1』は、その軽やかな反発が心地よく、パタゴニアのライトウエイトパックに、iphoneとウォーター1本放り込んでの街歩き、そんな軽装備のときこそ威力を発揮する。
M990v1自体の設計は1982年、オールドスクールな風貌に当時の最先端テクノロジーを注ぎ込み、大型のモーション・コントロールデバイス(踵部分の補強安定版)を搭載し、これは3年後のM1300へと受け継がれていく。
そしてオリジナル設計のヴィブラムソールを搭載し、耐衝撃性と安定性は今なお群を抜き色褪せない。
これらの要因としてはソール素材もさることながら、そのミッドソールの「厚さ」によるところも大なのだと僕は思う。
同じような風貌のニューバランス、ご存知メジャーな『M996』や『M576』よりも明らかに厚い。
加えてダットシューズとしても語られてしまうハイテク風貌の最新v5よりも厚いのだ。
v5からv1に履き替えると見える景色が変わる。満員電車で瞬時に体感できるレベルであり、すなわちスクッ!と盛れてしまうのである。
『M990v1』は、1982年の発売以降、様々な復刻がなされ、特にオールレザーバージョンの美しさには目をみはる。
今回ご紹介の2点は、ともに2015年発表のUSA限定品であり、日本には未入荷の品である。
スムースレザーの品は『M990BCK』。
アメリカ屈指のタンナーHORWEEN社の上質なレザーをふんだんに使用したもの。
品番にBがつくことからブラックと言う色目なのだが、どう見ても黒ではない。ダークネイビーにグレーをかけたような複雑かつ美しい色である。
あえて言うなら万年筆ペリカンのインキ「4001」のブルーブラック色に似ているか。
そして、スエード製のものは『M990CBL (COBBLESTONE)』。
J.CREWがニューバランスに別注をかけた逸品。WOLVERINE(ウルヴァリン)」社製の上質なスウェードが使用され、配色も美しき品。
どちらの製品からも見て取れるが、M990v1の美しさはトゥの盛り上がり、そして厚みだろう。
まるで海面に浮かぶ船舶のような面構え。ソールからトゥがポコっと前に飛び出し足を包み込む。
996や576、1300にはないM990v1だけの特徴であり、足元が重厚に見える。このおかげで様々なパンツスタイルに応用が効くのだ。
そんなこんなで、『M990v1』の巻。
それでは又!
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