さて、名刺を作ろうと思い立った。
前回の『引越記 その3』でも書いたように、僕の名刺はセンター横書き一行で、名前だけが記された、ただそれだけの極シンプルなものであり、それもいよいよ底をつき、何よりも某先生が同様の名刺をお使いらしく、対する相手を値踏みしつつ、住所、電話、モバイル…、をもったいぶって付け加えていき、時には様々なオプション設定、夜の銀座、六本木のネーちゃんには星座、血液型なんかも付け加えているのだろう、
ああ同類項に見られるの大いに気分悪く、さあて、クサくない名刺を一丁作ろうかと、渋谷ハンズの名刺コーナーをのぞいてみた次第である。
出された見本帳をペラペラめくって見ると、いやー、どいつもこいつも業界風、みんなAEやGデザイナー、Cライターの気分に浸りたいらしく、でも、まともな代理店、プロダクションではこんな薄っぺらな名刺は作らない・持たせない・ばらまかない、だろう。
いらんところにヘンな斜線を入れてみたり、色も無意味に使いすぎ、こんなん差し出すと、こいつ素人やな、とバレテしまいますぜ。恥じゅかし、ハジュカシ、なのである。
さて、前回引越時にフドーサン屋で手渡された名刺の中にも、この手の、お手軽「CI」「VI」風が多々見受けられ、それに合わせて社員のビジュアルも代理店マンもどきであり(東新橋や赤坂風ではなく、何となく神田あたりの雑居ビルに事務所を構える雑誌媒体主力系的)。
別に原点回帰、フドーさんらしくパンチで決めろとは言わへんけれど、その業種、仕事に奉ずる誠実、熱意というもの大いに希薄、感じられず、飲食の世界なんかもこの傾向の最右翼。
洋食系シェフは言うに及ばず、中華、焼き肉屋、果ては寿司職人までもがギョーカイ人マネにうつつを抜かし、頼むから、そのシミッたれた中途半端な無精髭、剃るか伸ばすか、どっちかにしては如何?!
で、名刺である。今、手元に一枚の名刺があり、先日引っ越し作業中、昔の手帳の中から出てきものやけど、もはや手渡すことのないデッドストックであるところの『ときめきスタイル社』最後の名刺である。
自分でレイアウトして印刷屋に持ち込んだものやけど、このデザインで3回刷っており、古物市場の市場主(ご老人多し)の御忠言に従って視認性アップを図り、名前と屋号の文字ずらやたらでかくなり、レイアウトがチト狂ってしまった残念ものである。
さて、今回は縦組み横組み交じりあったデザインで、用紙は白、漆黒のインク薫り立つ活版印刷で、と考えて、ラフも完成、印刷屋に持ち込もうとしていた正にその時、ちょっと待ったと、住所変更の可能性勃発、そう、こんなに早くやってくるとは予想だにしなかった、またまた次回のブログでの顛末報告なのである。 それでは又、ね!