ときめきスタイル社 店長Sの『東京彷徨かわら版』

Since1991年。たたかう古着屋『ときめきスタイル社』店長(社主)Sによる情報発信ブログです。雑誌掲載コラム、スタイリングの数々。そしてファッション及び服飾雑貨に関する考察などを掲載しております。

new balance MR993 偽物疑惑とインソール

ニューバランス『MR993』が日本で大人気となって久しい。

『M992』と並び、スティーブ・ジョブズが履いていた、なんて伝説もイメージを増幅し、M992が復刻を遂げてもなおMR993人気は衰えず、2012年に製造が中止され、「2度と手に入らぬ希少なデッドストック!」などとの触れ込みなども寄与しているものと思われる。

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MR993 BUとVI

しかし、まず最初に整理しておくと、現在市場に流通しているのは2008年~12年に販売されたオリジナルのものでは、ない。

BOX を見れば一目瞭然、グレー地に簡略化された星条旗がデザインされ、『made』とプリントされたクールかつシンプルなBOXであり、すなわちここ3年以内に製造された品々である。

デッドストック特有の経年による加水分解を気にしている人もいるけれど、実は全く今出来の品、そんな心配は一切無用なのである。

この現行MR993、元々はアメリカ本国のファクトリーストアーの専売品として復刻製造されたものだけど、日本を始め韓国中国のアジア圏で火が付き、アメリカのニューバランスファクトリーストアーは、一躍、転売ヤー達の格好の狩場となった。

Dワイズ以外に2Eや4Eまでもが並んだが、元々大きな作りの993、Dでも十分大きなところ、品薄となれば2Eサイズまでもが狩猟され、日本市場に転売投入されたのである。

その後、USAニューバランスオンラインにも登場したが「US11」位までの日本人適合サイズはことごとく瞬時完売と相成った次第である。

なお、現行本物のMR993のインソールの裏の色はブルーである。

グレーではない。

 

MR993のインソールの本物画像

本物MR993のインソール表と裏

 少なくともDウイズのものに関して言えば、グレー、インディゴ、ブラック、バーガンディー・・・、各色アッパーの色は違ってもインソールの表はグレーであり、その裏の色はブルーである。

しかし一部で、『インソールの裏、ブルーのものは偽物!』などという、おそらくは誤った標本に基づいて勘違いしたのであろうニセ情報が流布され、正真993所有者を大いに落胆させている。

そして、ブルーのインソール裏を、あえてアピールして販売している真面目なセレクトショップなどは、おおいに困惑しているものと思われる。

ちなみにスティーブ・ジョブズは他にも色々とニューバランスを御愛用で、M1300は元より900番台は初代M990(M990v1)に始まり色々とお履きであったが、残念ながらMR993を履いていた、という確証はない。

個人的には、ちょいと嘯いた表情で、黒く薄汚れた『M990v2』を纏った足をクロスにし、雑誌『TIME』の表紙を飾った無頼な風情のジョブズが、一番イカスと思うものである。

それでは又!

 

スティーブ・ジョブズとnewbalance M990v1

 

 

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ときめきスタイル社 雑誌「PeeWee」 連載コラム 『古着屋かわら版』その5 シューレースについて、そしてニューバランスM1700GRA

えー、在宅ワークになればなるほど、のんきな自分時間の確保がムツカシイ今日このごろ、みなさんときめいてますか、そーですか。

久方ぶりのブログ更新。季節が変わらんうちに、取り急ぎ『古着屋かわら版』の生原稿をアップしときます。

雑誌『PeeWee』連載コラム、確か連載4年目の9月売り号、かな。

 

この回のスタイリングの見どころは色合わせの妙で、色がピタリと合えばまとまりが生まれて美しい、てなやつ。

特に左下なんぞはてっぺんから足元まで合わせてみたけど、これなんかは膨大なアイテムを抱える古着屋だからできたズルい技であり、素人さん宅のワードローブではちょいと難易度高いかも。

ときめきスタイル社の連載コラム生原稿

雑誌PeeWee連載「古着屋かわら版」

 左下はアイテム的には70年代で統一してみた。

中央の赤いニットジャケはおそらく60年代の手作りモン。娘への愛情たっぷりキュートなやつ。

足元もキッチュな赤の合皮レザーブーツでまとめてみた。

 

ときめきスタイル社では、おそらく1000足くらいのデッドストックの靴を仕入れてきたけれど、なんやかんや言いながらスタイリングに最も頻繁に利用したのはチロリアンシューズであり、実は男もん、「僕」私物なのである。

チロリアンは計4足をコーデに合わせて使い分け、シューレースにもちょいと手を加えてみたり。

チロリアンシューズは基本的に2ホールor3ホールだけど、そんな短い靴紐でも、交換することで知らなかった表情を見せてくれるのだ。

 

さてシューレースついでにこんなやつ。

ニューバランス M1700 GRA シューレースアレンジ

ニューバランス M1700 GRA


ニューバランスの実質的なフラッグシップの地位に立つM1700。

MADE IN USA 半艶のビニール製なれど価格は37400円。

このねずみ色のダサダサ具合がたまらんのである。

 

NB蒐集歴20年、日本全国、海外でも、グレーのシューレースがあれば買い求め、ストックするのが常であり、このM1700、もとはオフホワイトのシューレースなれどグレイアレンジを施してみた。

ツヤ感、質感、ともに申し分のないシューレースであり、田舎の雑貨屋の棚に眠っていたものである。

 

本家ニューバランス社の交換用シューレースはマット過ぎて、毛羽立ち感も多々見受けられ、残念ながら色気がたらんのである。

 

ニューバランス M1700サイドビュー

 

いずれ近いうちに、ニューバランスのサイトも作ろうかと画策している今日このごろである。

 

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それでは又!

 

 

 

 

至高のNewBalance 初代M990(M990v1) 『M990BCK HORWEENレザー』& J.CREW別注『M990CBL』

『ファーストクラスの履き心地』なるキャッチフレーズを引っさげて、日本国内でのセールス展開となった『M990v5』だけれど、僕にはそこまでの感動ていうものは、ない。

 

v5だけでも計3足、『M990GL5』、『M990IG5』、『M990BM5』を所有しているけれど、それというのも一般的には理解不可能、見てくれのムツカシイこの「運動靴」を、いかに美しく履きこなすかという、思考訓練を伴う修行のためであり、履き心地に惚れ込んだわけではない。

 

僕にとってのニューバランスの履き心地、その双璧は『M991』と今回ご紹介する初代のM990、そう『M990v1』なのである。

 

M991は荷物の多い時、PC、本やら詰め込んだアタッシュケース片手のオンタイム、はたまた重装備のバックパック背負っての見知らぬ国をさすらう時、その硬めのミッドソールでグイグイと前進する。

 

対して、『M990v1』は、その軽やかな反発が心地よく、パタゴニアのライトウエイトパックに、iphoneとウォーター1本放り込んでの街歩き、そんな軽装備のときこそ威力を発揮する。

 

M990v1自体の設計は1982年、オールドスクールな風貌に当時の最先端テクノロジーを注ぎ込み、大型のモーション・コントロールデバイス(踵部分の補強安定版)を搭載し、これは3年後のM1300へと受け継がれていく。

そしてオリジナル設計のヴィブラムソールを搭載し、耐衝撃性と安定性は今なお群を抜き色褪せない。

 

これらの要因としてはソール素材もさることながら、そのミッドソールの「厚さ」によるところも大なのだと僕は思う。

 

同じような風貌のニューバランス、ご存知メジャーな『M996』や『M576』よりも明らかに厚い。

加えてダットシューズとしても語られてしまうハイテク風貌の最新v5よりも厚いのだ。

 

v5からv1に履き替えると見える景色が変わる。満員電車で瞬時に体感できるレベルであり、すなわちスクッ!と盛れてしまうのである。

 

『M990v1』は、1982年の発売以降、様々な復刻がなされ、特にオールレザーバージョンの美しさには目をみはる。

 

今回ご紹介の2点は、ともに2015年発表のUSA限定品であり、日本には未入荷の品である。

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左は『M990BCK』そして右が『M990CBL』

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m990v1のソールは厚い。特に単色で構成された左のBCKを見ればよく分かる。




スムースレザーの品は『M990BCK』

アメリカ屈指のタンナーHORWEEN社の上質なレザーをふんだんに使用したもの。

品番にBがつくことからブラックと言う色目なのだが、どう見ても黒ではない。ダークネイビーにグレーをかけたような複雑かつ美しい色である。

あえて言うなら万年筆ペリカンのインキ「4001」のブルーブラック色に似ているか。

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独特な発色。ペリカンのインキ『4001』のブルーブラックに近似。

 

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そして、スエード製のものは『M990CBL (COBBLESTONE)』

J.CREWがニューバランスに別注をかけた逸品。WOLVERINE(ウルヴァリン)」社製の上質なスウェードが使用され、配色も美しき品。

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モコモコしているのに芯がある。独特な風合いのWOLVERINE社のスエード製。

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1982年以来継承されるオリジナルパターンのヴィブラムソール。

 

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味わい深いタン裏ラベル。


どちらの製品からも見て取れるが、M990v1の美しさはトゥの盛り上がり、そして厚みだろう。

まるで海面に浮かぶ船舶のような面構え。ソールからトゥがポコっと前に飛び出し足を包み込む。

996や576、1300にはないM990v1だけの特徴であり、足元が重厚に見える。このおかげで様々なパンツスタイルに応用が効くのだ。

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そんなこんなで、『M990v1』の巻。

 

それでは又!

 

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ニューバランス M990 V5対決 M990GL5 vs M990IG5

「おんなじモノ、2つも買ってきてどうするの?!』なんて叱られそうだけど、僕にとっては全くの別物で、ニューバランスv5の美しき2点。

右は『M990GL5』、対して左は『M990IG5』。スエード製対ヌバック製のイカしたコンビである。スエードはチノパン用、ヌバックは真夏ににチャコールのリネンパンツと合わす。M990はv5(ヴァージョン5)になり、ますますハイテク感漂うルックスへと進化した。

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履きこなしの難易度は、ますますUP、ちょいと間違えれば御老人のゲートボール用運動靴と見紛えてしまう。

M990はv3あたりからハイテク化が加速し、このボッテリシルエットに合わすボトムスは、アンクル丈のテーパード、もしくはショートパンツ以外は考えられなかった。

そして今回のv5であるが、男女ファッション共、ゆったりルーズ化の波に乗り、黒帯級のおしゃれ猛者達は、あえてドカンとワイドなボトムスで存在感を競っている。

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後ろ姿。今度は右はM990IG5、対して左はM990GL5


思えば今から十数年前のこと、同じくニューバランス『M2001』、この、あえて合皮で作られたフラッグシップモデル(定価37,800円)も、短命前作M2000同様、旧来のNBヲタをあざ笑うが如くハイテクモードに振り切っていたが、こいつに合わすのも、あえてワイドなボトムスが「ツウだね」などと言われたものである。

 ただ今年のM990、v5スタイリングとの相違点は、M2001の時はボトムスはワイドでも、トップスでタイトに締めるという定石通りの手法だったけど、今期のv5の着こなしは、トップスまでもゆったり全体に丸く、それがイマ的芳香を放っている、という点か。

 

『M2001』の履きこなしの、あれこれ苦悩に関しては下記の過去記事を参照していただければ幸いです。

 

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本日『ウェブリブログ』から、『はてなブログ』に引越しました。

引越し第一回目の記事となります。

今後とも宜しくお願い致します。

 

それでは又!

立ち読み専用靴 『new balance M2001 GR 』

東京駅前丸の内の『丸善』で、3時間に及ぶ立ち読み。で、足元はコイツ。

M2001 GR。色使いが渋い。

new balance M2001 GR シューレースはチューン済み。

情けないサンデーパパのお散歩「運動靴」てな風情で、しかも本革ではなく、半ツヤのビニール製。東京靴流通センタ-のワゴンセール、本日の目玉、980円!的面構え。

But!その名も『new balance M2001 GR 』定価は確か3万7800円。NBのフラッグシップモデルと聞けば、何となくありがたいものにも思えてきて、そのビミョーなオーラが裸の王様的に奉られ、高感度とされる『ディストリクト』や『ビショップ』の店頭でイメージ作りに重宝されている。

こんなもん誰買うねん、あざ笑いつつも、「まあ一度足を通すだけでも」履くいてびっくり、自分の体重73キロがふっ!と飛び、立っていることすら忘れてしまう重力分散靴。そう、気合いを入れたい時の立ち読み専用靴である。

上級者を自認する人々はタキシードに合わせたり、女性もわざと大きめメンズサイズをドレスに合わせたりして、「我、達人ナリ」と、業界臭を醸し出されておられるが、僕にはそのココロザシのハードルたるやあまりに高く、坂本龍一をパブリシティーの旗印として、それに続く大名行列的風情がこっぱずかしく、いいものはいい、だけど履いている姿を人に見られたくない、この靴を履く時ほど自分のカッコにチェックを入れるときはなく、なるべくフツーに目立たぬように、でもいやしかし、と、裏の裏、そのまた裏をかいて、あああ、僕もいつしかサンデーパパの仲間入り。

色違いのM2001 BK。付属のシューレースはやtらと長い。

色違いのM2001 BK。純正シューレースはやたらと長い。
 

                                                   それでは又!!